東京高等裁判所 昭和52年(行ソ)1号 判決
一 再審原告の主張中、原判決が再審原告主張のような経過で確定したこと、および原判決の審理において、証人Sは昭和四〇年六月一日の口頭弁論期日において、証人Oは同年五月三一日以前の口頭弁論期日において、それぞれ証言したことは当事者間に争いがない。
二 再審原告は、右両証人が偽証したとして民事訴訟法四二〇条一項七号、二項の再審の事由を主張し、二項の要件としては、右偽証罪についての公訴の時効の完成により有罪の確定判決を得ることができないことを挙げる。
そこで検討すれば、仮りに右両証人が、右各口頭弁論期日において、原告主張のとおり偽証をしたとしても、弁論の全趣旨によれば、右各口頭弁論期日から七年以内に偽証罪で公訴の提起がなされなかつたことが認められるから、刑事訴訟法二五〇条三号、五五条一項但書、刑法一六九条により、右各証言の日から七年を経過した日に、即ち、証人Sについては昭和四七年五月三一日の経過により、証人Oについては遅くとも同年五月三〇日の経過により、それぞれ公訴の時効が完成したことになる。
三 ところで、再審の訴は、当事者が判決確定後再審の事由を知つた日から三〇日内にこれを提起しなければならない(民事訴訟法四二四条一項)。
そこでこの点につき検討するに、まず、原告は、右両証人の証言が偽証であることを昭和五〇年一月二四日に知つたと主張するので、原告は遅くとも同日までに右事実を知つたことを自認するものであるが、そうとすれば、同日までには、原告は、右両証人の偽証の事実のほか、各偽証の時から、七年の日時が既に経過したことも知つたわけであるから、民事訴訟法四二〇条二項の要件をも知るに至つたものといわなければならない。
けだし、同項の要件を知るとは、その基礎となる事実関係(偽証者等につき、例えば最終審の有罪判決言渡、死亡、大赦、時効期間たる日時の経過)を知れば足り、その法的評価の認識までは必要としないと解すべきであるからである(最高裁昭和三六年九月一九日判決、民集一五巻八号二一八九頁参照)。
そして、本件再審の訴が提起されたのが昭和五二年三月二八日であることは、当裁判所の職責上明らかであるから、本件再審の訴は、原告が、原判決確定後、再審の事由を知つた日から三〇日を経過した後に提起されたものといわなければならない。したがつて本件再審の訴は、民事訴訟法四二四条一項により不適法であつて却下を免れない。
四 よつて、本件再審の訴を却下する。